「元に戻らなくったって、いいじゃないですかあ」
「な……っ!!」
「だって隊長、どっちだって可愛いんですもん!」
「や、やめてくれと……何度言ったら……!!」
ノルヴィーの言葉に辟易とたじろぎを繰り返すVES第7部隊隊長リグライ・アドアスである。
1・
ミシェルのところから助け出されたはいいが、結局ノルヴィーの私室に連れ込まれて全裸だ。“みせあいっこ”の名目で相手も全裸なのは救いと言えるだろうか? いいや思えない。それにだ、そんなことを考えるより、1時間ほど前にルリスによって伸ばされた“皮”が未だに戻らない情けなさが先に立つ。リグライは、ノルヴィーのベッドの上に座り、脚を投げ出して開き、自らそんなものに視線を下ろし、見入っている状態であった。
これに、ノルヴィーはまたしても愛らしさ愛おしさを感じ続けている。
「うふふふふ、おちんちんを気にしちゃう隊長……」
「ういっ!」
真っ赤になって顔を上げる。恥も忘れてそんなものを見つめ、無防備でい続けてしまった事実。言われて気付いて、慌てて隠す無様さまで味わうことになるというのに。失敗した。
「あぁ……」
弱弱しい声を発し、身体をうねらせてしまうリグライ。掌にはぷよぷよとした厚い皮の感触が全体に……と言うには少し足りない面積分、広がる。いや、もっと正直に言うと、掌の半分より少し広い程度の面積だ。小さい。皮が伸びていなかったら、それすらにも到達しなかったであろう。小さい。
そうしているとノルヴィーは、今度は眉を軽くひそめ、唇を尖らせることで、明らかな不満の表情を作ってみせた。股間を隠したことを言うのかと思いきや、違う。
「みせあいっこって言ったのにぃ、全然見てくれないじゃないですかあ〜」
「うはっ!?」
驚くリグライ。爆発したように顔の中心から全方面に向かって紅色が行き渡っていく。彼女が見たのは、それまで身を閉じるようにして膝をつき座っていたノルヴィーが、両手足を横に広げる大胆過ぎるポーズを取ったからである。
「う、うあっ、うあっ、うは……!」
目が飛び出しそうだ。前へと顔をせり出させてしまっている。
豊満な乳房、艶やかな肌、均整の取れた毛、僅かに奥を覗かせる女陰。
あのノルヴィーが。上品で温和なノルヴィーが。今まで、このような下品な姿を見せたことは無い。いや、すべてを受け入れるようなポーズと言うべきだ。
つまりそれはこの先この身、恥部と呼ばれる箇所に何をされようと良しであると。むしろその身と併せることを望んでいると。変わらぬ、やわらかくやさしい笑顔がそれを理解させていった。
「ふうああ……はぁあああ……!!」
「隊長……ああ」
荒い息を発する無様なリグライと、透明感のある声で唄うノルヴィー。
なんという2人の差だろう。これが同じ地球人の女性であり、また上司と部下の関係にある2人だというのか。しかしその惨めさすら今のリグライの頭にはない。リグライは、思わず体すらも前へと送っていた。膝をつき、両手を伸ばし、唾を飲み込んでノルヴィーへと近づいていく。
「ほはぁあああ……はほはぁあああ……!」
赤々とした全身から汗を噴き出し、まるで、変質者。
しかし、そういう意味ではノルヴィーも結局は同じである。
「あはあああああああっ! 隊長ぉおおおっ! 自分から見せてくれちゃって嬉しいですぅう〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
打って変わって、跳ね飛ぶノルヴィー。ポーズ変わらずで、まるで尻の力でそうしたかのようである。実際は、背骨を急速に曲げ伸ばしすることで反動によって行った……リグライの丸出しになった股間を見た拍子に反射的にしてみせた、変態な動きだ。しかもこれが加速する。
「あぁあぁああああ! いないないばーでおちんちんが見えりゅううっ! 勃っちゃってるじゃないですかああっ! 履く途中の靴下みたいにだらんって皮がぁああーーーー! あはああああーーー! あやはああああーーーーーーーーっ!!」
自ら反り返って乳房を顎にまで跳ねつけ、両腕を後ろに突っ張らせながら倒れ込む。膝は直角に曲げて、両手と足だけで立つおかしな生き物の完成だ。びよんびよんと股間と尻を上下させ、その様はリグライの、かつて風呂で見せた秘めたる情欲を上向かせ……ることは、今回はできない。
なぜなら、言うまでもなく、口からあふれ出た情けなさ極まる“評”のためだ。
「は、履く途中の靴下……か、皮が……うううう、こんな変化まで遂げてしまったぁああああ……!!!」
履く途中の靴下。自分の股間がそれだと。確かに、包む一つの細長い物体の先端を起点にして皮が垂れ下がる様……よく似ているかもしれない。
愕然。逆に、ノルヴィーの情欲はさらに燃え上がる。
「あはああああああああっ! 隊長ぉおおお、もおおっ! もおおっ! なにしてもかわいいいいっ! 戻らなくったっていいじゃないですかああーーーーーーーっ! でも戻って安心する隊長も見たいですぅうううううううううう! だって戻ったってちびっちゃすぎて可愛いんですもん!! “やった戻ったぞ!”って喜びながら超ミニかわゆすぎおちんちんを誇らしげに見て……それでまた“ああ、戻ったとしてもこんなもの。こんなものに戻ったことを心底喜んでしまったあああ……”とか言っちゃうところ、死ぬほど可愛くてぶっとんで爆発しちゃいます私ぃいいーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!」
全裸の身を上向け、大柔肉を転げ躍らせてベッドを軋ませる。ミシェル以上に狂っている、否、はるかに上と言っていいほどのもはや化け物だ。
何が彼女をそうさせるのか。例えば、前世で恋人だった? それとも、並行した別世界で2人が大きな前進を見せ? それがこの暴走を生んでいると? そして、この仮説が多少なりとも正しいと思える変化が、リグライにも及んでいた。
「う……うぅあう……すごい……うぅううあ……!」
凝視。鼻の下が伸び、口がだらしなく開き、その端から涎が垂れている。
つい先ほど、上向かされることのできなかったはずの情欲は、今の次なる事態によって結局、滾り持ち上がることとなってしまっていたのだ。ちょろい。
「ああ、はあ、ノルヴィー……なぜそんなにお前は……私にないものばかりを……ああ、あああ、おおお、おおおお……!!!」
進む。膝を這わせる。細い腿を前後させて、膝に力を入れて、やわらかい布団の上で前へ前へ。小さな体の小さな歩幅だが、着実に近づいていく。
「きゃはお……っ! おおきゃはああああああああーーーーーーーーーー! 隊長ぉおおお……隊長ぉおーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
ノルヴィーもまた、これに応える。最高に跳び上がったところで、トラップのように腕、脚、胸、首を前側に閉じ、じりじりと迫ってきていたリグライの全身を包み込む。
「ほわあああああああああああああ! ほわあああああああああああああああああ!!」
影に呑み込まれながらの、絶叫。やわらかい。全身がやわらかい。むにむにとしている。ぷるぷるとしている。揺れて離れてまた肌を打った時、甘い香りが骨の髄までくすぐっていく想いがする。そして、ぎゅっ。
「うきょあおおおおおおおおおおおおお!!!」
「隊長ぉおーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!」
二つの嬌声が交じり合う。
リグライの股間はそれまでより0.8ミリも上という本人最高の位置までそそり立ち、余った皮の角度を微かに変えた。そこに覆い被さる、ノルヴィーの女性器。柔く湿り、さらに温かい汁を吐きだしながら、小物体をすっぽりと包み込む。
また、リグライ自身も腰を滑り込ませ、跳ね上げていた。
「おおおおお……ほぉああえあああああああああ! ノルヴィいぃいいいいい! ノルヴィぃいいいいいいいい!」
リグライの両細腕がノルヴィーの腹を挟み込む。
「あはあああああーーーーーーーーーーー! 幸せが……ついにぃいいいーーーーーーーーーー!」
ノルヴィーも強く、より強く、自分の全身で相手の全身を心地よく包み締め上げる。つながりをより深くするため。
さらに体を上下させる。自分自身が一つの巨大な穴になってしまったと想いながら。穴の内側にだけ神経を、精神を集中させる。どろりじゅるりとしたもので幸せの鍵を包んでいる。これを穴という自らで押さえ込む。絶対に離れないように。それでも体は動かせるように。互いの存在を感じ続け、気持ちを分け合い続けられるように。
「きひああああああーーーーーーーー! ひふはあああああーーーーーーーーーーっ!!」
リグライも身を揺する。先ほど同様に腰を跳ね上げる。外れないように。飛んでいかないように。離れてしまわないように、本能を利してその極限を探る。自分の両腕ではその動きを制することができない。だから、必ず。
おお、ぬるぬるとしているのに周りから押さえ込んでくるこの感覚。感じる。相手の必死さを。互いを想う絆のような何かを。この惨めな体をだれよりも愛し認めてくれている存在を。その象徴を。互いに。互いに。
「おほ、おほおお、おほお、おほほほおおおおおおおおおお!」リグライ。
「きゃはあっ! ひはああっ! ぶひ……ふひいいいーーーーー!」ノルヴィー。
布団の上は、汗と汁でぐっしょりと塗れていた。その上で転げまわればべたべたべしゃべしゃ。しかしそれでも2人はやめなかった。
繋がっていたいという強い想いを、互いの身と共に抱き続けて。
2・
「隊長、うふふふ……折れ曲がった皮のおかげで、中で出なかったなんて……ちょっと惜しいけど可愛すぎますっ!!」
「うあああーーーーーーーー! うああああーーーーーーーー!」
私は部下となんということを。
しかもこんな変な失敗まで。
「ああああ! うあああーーーーーーーーーー!!!」